トツドル!

撮影は突然に

 神社の門に着いた。ここまでは緩やかだが登り坂。制服とはいえ、やはりしんどい。
「さていきましょう」
「待ってくださいよ、香織さん」
妙にハイテンションな香織さんはさっさと石階段を上っていく。私は一段ずつゆっくりと上っていく。
先に上っていた香織さんは水場の手前で待っていた。
「さてここで問題! この水場は何でしょうか? 」
いきなりクイズ⁈
うーん、考えていなかった。
「分かりません」
きっぱり。
「もう~、芽衣ちゃんったら。この水場は『手水舎』って言います」
「てみずや? 」
「ここでまず身を清めます。っていうても手と口だけですが神社の二番目の作法になるんだよ」
「へー」
香織さん、詳しい。
「そしていよいよ手水舎の作法は、右手で柄杓を取って、水を汲み、それをかけて左手を清めます。芽衣ちゃんも一緒にやってみて」
「あ! は、はい」
ぎこちない手付きで見よう見まねにやってみる。
「うん、よく出来たね。次は左手に柄杓を持ちかえて、右手を清めます」
同じようにする。
「 再び柄杓を右手に持ちかえて、左手のひらに水を受け、その水を口にいれてすすぎます。この時に柄杓に直接口につけてはダメ。色んな人が使うから必ず左手に水を移してね」
また同じようにます。だけど香織さんの口調がいきなりケーブルテレビみたいになっているなぁ~。私は辺りを見渡した。
カメラがあるんでは⁇
「すすぎ終わったら、水をもう一度左手にかけて清めて、使った柄杓を立てて、柄の部分に水を伝わらせるようにして清め、柄杓を元の位置に戻すよ、芽衣ちゃん」
「あ! は、はい」
不意を突かれて慌ててする。
「な、なんだか香織さん、レポートみたい」
笑いながら話す。
香織さんの顔が目が点になっている。
「め、芽衣ちゃん、レポートみたいじゃなくてレポートしているんだよ、私達」
「え? え? えーー! 」
本当に撮影でした。

投稿者:

創作人 Wordpress

小説と詩を書いています。 「月の詩」シリーズをAmazonにて販売&配信中です。

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