トツドル!

再び同じ場所で ⑵

 山道を歩いていきながら香織さんは言った。
「あの前田さん、私のアイドルとしての恩師みたいな存在なのよ」
「え? 普通の人にしか見えませんよ。っていうか、なんで告知もしていない今日のコトを知っているんだろう」
本当に謎だ。
告知なしで何故ファンが待ち構えていたのが。
「私が教えたの」
「香織さんが⁇ 」
「うん。私の晴れ舞台は一番最初に前田さんに教えているんだ」
か、香織さん、かわいい!
無邪気に笑う笑顔が最高!
「一番最初に始めたアイドル活動がなかなか軌道に乗らなくて…集客力もなくて…スタッフさんに怒られてばかりだった頃に前田さんが観に来てくれたのが始まり」
「香織さんって…いつからアイドルをしていたんですか? 」
「中学校入ってすぐかな。だから歌やダンスもレッスンしながら月一で駅前の広場で歌っていたんだよ」
そんな前から?
「特に何も取り柄も特徴も無いし、歌やダンスも上手いわけでもない。そんな私にファンがいるわけでも無かった」
知らなかった。香織さんって…意外に努力家?
「そして秋頃だったかなぁ、前田さんに出会えたのは。最初はただフィルムが余っていたらって2枚だけ撮ってもらえて、2回目からは路上でレッスンしながらずっとずっと観てくれた。スタッフさんも言わなかったコトをズバズバ言ってくれた。あの時はただの口うるさいオジさんだったけど、今となっては私の礎だった出会いなんだって感じたの」
「へー…香織さんの恩人ですかぁ」
「うん。だから教えたの。参拝までなら広峰さんに怒られるコトもないしね」
可愛く舌を出してウィンクをした。
話は分かったけど…なんで私は他人扱いだろうか?
やはり応援する側から応援される側になったからだろうか?
「だから芽衣ちゃんも前田さんに向いて貰わなきゃ! あの人の推しメンになって注目されないアイドルはいないから」
「あ…は、はいっ! 」
うん、私のお願い事が決まりました!

投稿者:

創作人 Wordpress

小説と詩を書いています。 「月の詩」シリーズをAmazonにて販売&配信中です。

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