トツドル!

再び同じ場所で ⑴

「芽衣ちゃん! 明日は山登りだよ! 」
「山登り? 」
いきなりの登山! HKガールズの会議室で明日のミーティングです。
マネージャーの広峰さんが伝える。
「課長に聞いたところ、ご当地アイドルにもかかわらず、大事なコトを忘れていたコトが発覚しましたので急遽、先方に連絡して手配を致しました」
仕事が早い。
そして事務的。
伯父さんとはえらい違いだ。
「場所は広峰神社。時間は朝の7時に現地集合です」
「って、送迎車は? 」
「残念ながら車の手配が出来ずに現地集合、現地解散になってしまいます。皆さんの学校には私の方から伝えておきます」
えーーー! まさかの遅刻ですか?
「芽衣ちゃん! 私がいるから大丈夫! 明日は早起きだよ! 」
「あ! は、はいっ! 」
つい何時もの調子で返事をしたけど…香織さんの行動が一番心配です。

そして朝。
天気は晴れ。
だけど季節が春になったばかりだから寒い!
「あ! これってデジャブ⁇ 」
思い出す。
一年前は香織さんのファンとして一番乗りで着ていた。あの時はまだ目標も無い私に親友の菜々から香織さんを紹介されてヲタとしてきていたけど、今日は私もアイドルとして同じ場所にいる。
なんだか不思議な感じがした。
違うのは手に持っているのがカメラじゃなくて学校の鞄かな?
そして制服姿というところも。
縁を感じていた。
少し遅れて香織さんが到着した。
「おはようございます、香織さん」
「おはよう、芽衣ちゃん」
学生服姿の香織さんはやはり萌える!
ヲタなら写真を撮りたいが…
「芽衣ちゃん、写真撮りたい? 」
「あ、はいじゃなくて、揶揄うのやめてくださいよぉー」
「うふふ」
相変わらず茶化すんだから。
朝から笑いました。
カシャカシャ…
「え? 」
カメラのシャッター音に敏感に反応した。
「あら? 前田さん、お久しぶりです」
「前田さん⁇ 」
香織さんはさっさとそのカメラを構えている男性の方に走る。私も吊られて行くとやはり…というべき人がいた。
「お久しぶりです、南畝さん。またアイドル活動をすると聞いて今日のコトを知りました」
「ありがとうございます。でも今日はお参りだけなので…」
「ええ、分かっています。ライブはまた別の場所ですね」
と、私を見た。
目が合った。
「おはようございます」
とりあえず挨拶。
覚えているかなぁ~。
「おはようございます。初めまして、自称南畝香織のカメラマンの前田です。HKシスターズの姫川さんですね、今後ともよろしくお願いします」
な、なんて他人行儀な!
第一、私を知らない⁇
ありえないでしょう! 3月まであんなに一緒に香織さんのライブで会いながら知らないなんて。
「あ、は、はい。姫川め…め…」
「芽衣ちゃん、芽衣ちゃん」
「スミマセン! 姫川芽衣です! 」
か、噛んだーー‼︎
前田さんも笑う。
香織さんが言うた。
「スミマセン、私達もう行かないと…」
それだけ伝えて私達は神社の階段に続く山道を歩いて行った。

投稿者:

創作人 Wordpress

小説と詩を書いています。 「月の詩」シリーズをAmazonにて販売&配信中です。

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