トツドル!

ようこそ南畝家へ!自宅訪問ミーティング

「確かに、ここだよね…。」 私は空を見上げた。 空は青かった。 じゃない! 何度も何度も手に持っているメモを繰り返して確認する。「うわー、普通じゃないとわかっているけど生活まで違いすぎるとは…」 私は今、とある高級マンションの前にいます。 こんな場所なら普通にカフェに行っていた方が良かったかもしれない…。
今から1時間前。 私は学校の屋上。「芽衣ちゃん、今日は予定空いている? 」 南畝さんが授業が終わるのと同時にスマホにかけてきた。「まぁ、普段はヒマですが…。」「ならちょっと屋上にきて。」「は、はい。」 という感じで、屋上に呼び出されていた。 さすがに屋上は風が吹いて春といえど寒い。「今日は特に私達の予定なかったハズでは⁇ 」「うん。だからこそ今日なの。」「え? 」「はい、これ。私の家の住所と地図。今日はミーティングしましょう。」「は、はい。」
いわれるままにココにいる。「とにかく入ろう。」 意を決してマンションの奥に入る。 事前に教えてもらったセキュリティーの暗証番号を押してエレベーターで20階のボタンを押す。 数秒後。 エレベーターのドアが開いた。 パァーン‼︎「いらっしゃい、芽衣ちゃん! 」 クラッカーの音が鳴り響いた。「い、いきなり何をしているんですか! 他の住民の方に怒られますよ! 」 び、びっくりしたぁー。 胸がドキドキする。「大丈夫! この階全部私の家だから。」「はい⁇ 」 え? 全部?「このマンション、私の父の会社が所有している物件だからこの階から最上階の23階まで私の家になっているのよ。」 えーと、それってつまり…。「ちなみに私の曽祖父はこの姫川市の市長していたらしいよ。」 筋金入りのお嬢様でした…。 だから突拍子のない行動ができるんだぁ。 なんだか納得している自分がいる。「さ!立ち話よりも部屋の中に入って話そ。」「は、はい。」 内心は穏やかではなかった。 南畝さんによると…
「家には普段は私しかいないから安心して。多少騒いでも怒られないから。」 と、あっけらかんと言う。 まぁー、世の中にはいたんだなぁ。リアルなお金持ち…。 すっかりテレビだけの話かと思っていただけにすっかり惚けていた。「ちょっと準備するから待っててね。本はそこの本棚にあるから。」「わかりました。」 とチラ見するレベル⁈ すっかり図書館かと思ったよ。「漫画に雑誌に小説まで…。いったい、何冊あるんだろう…。」 ありすぎて選ぶにも困る。 と…。「読みかけ⁈ 普段何を読んでいるのかな⁈ 」 足元にあった本を見た。 え…⁇ な、何!コレ! お、女の子同士で⁇ まさか…そんなシュミが…⁇ 頭から足の指先まで火がついたみたいに真っ赤になるのが明らさまに分かった。 今日….ご両親いないんだよね…。 さっき準備するって…まさか…。 「いやいや。そ、それはナイナイ! 今日はミーティングに来たんだから。」 誰もいない部屋で何をソーゾーしているんだ、私。「お待たせー。芽衣ちゃん、甘いの好き⁇ 」 南畝さんがケーキを差し出した。「あ、はい! い、いただきます。」「ふふふ…。そこまで緊張しなくていいから。」 って…。 あんな本を見たら直視できないよぉ~。「あ! コレ、ここにあったんだね。」 南畝さんがその本を手に取った。「あのー、それって…。」「ん⁈ 従姉妹が忘れてたみたいで…私のシュミじゃないけどね。」 ち、違ったぁー! 「あ…あははは~…。」 よかったぁー。 今度は汗が出てきそうだよ。「まさか…芽衣ちゃん、ソッチ系⁈ 」「ち、違います‼︎ 」 すぐに全力で否定した。「それにしても南畝さん、服が可愛すぎじゃないですか! 」
女の子同士の漫画ネタは置いといて、慌てて話題を変えた。 実際に可愛すぎ! 制服かスタイリッシュなステージ衣装しか見ていないから肩と脚がフリフリがある服を初めてみた。 しかも胸元が見えてセクシー! 嗚呼~、写真撮りたいーー! カメラ忘れてたしなぁー! ばかばかばか、私のバカ!「写真撮りたい⁈ 」 エスパーですか、あなたは! プライベートショット撮りたいけど「今日はミーティングです! 」 ぐっと我慢、我慢。「我慢しちゃう芽衣ちゃんもかわいい。」 少し首を傾げて笑うなんて萌えるじゃないですか!「わ、私を揶揄わないでくださいよ。」 無事に平静保てるだろうか? 女の子が好きというよりもアイドルが好き過ぎるのを控えなきゃ。「そーねー、芽衣ちゃんもこれからは撮られる側になったからね。外ではうかうかとコケられないよ。」 あ! 私もアイドルだった。「それにもう『南畝さん』はやめなきゃ。私達パートナーだから『香織』でも『かおりん』でも『香織お姉ちゃん』でもいいよ。」「すみません…『香織さん』に決定しました。」 これからは一緒に活動するんだった。 しかし….「家の中では開放的なんですね。」「そーねー。外では立場上どこからカメラが構えられているかわからないからね。」「そんなもんなのですか? 」「芽衣ちゃんもケーブルテレビで出ているから気をつけなきゃね。ほら、もうこんな風にね。」「はい⁈ 」 スマホを見た。 啞然。 「な、なんですか?コレ。」「芽衣ちゃんの話題にもちきり。でも住所までは割り出せていないみたい。」 SNSの香織さんのアカウントには私のことばかりが話題になっていた。 どこの学校、どこに住んでいるか、活動歴など。 しかも私の写真がバシバシ貼られているじゃないですかー! ヲタってコワイ。 初めて思う。 住所や身の回りのプライベートについては「まぁ、私の場合は匿名でプライベートはシャッターアウトにしていますから。」 SNSでは絶対にバレない自信がある。「おー。」「じゃあ、私がバラそうかなぁ~? 」「いやー! やめてーー! 」「ウソ…よ。」 香織さんはどこまでもドキドキさせるお人です。 結局、香織さんの部屋…っていうか…家というべきかはわからないが、ミーティングではなかった。
好きな本の話をしたり、香織さんが作ったお菓子を食べて、喋ったり、これまでのそれぞれの自己紹介的な話だけで夜が更けた。「すっかり暗くなったわね。」「あ! もうこんな時間⁈ 」 壁掛けの時計を見ると夜8時になっていた。 「なら、このまま泊まれば⁈ 」 香織さんの提案。「でも…最初からお泊りなんて…」 私は遠慮した。「でも女子校生が一人で帰るのは危なっかしいし、明日は土曜日で学校も休みだから…ね。」 言葉巧みに使い、私を引き止める。「…どっちにしても家にかけてみます。心配していると思うし。」 電話してみる。 どーやら声が遠くから聞こえてくるは伯父さんかな? 電話にはお母さんがでた。 話すこと数分。「香織さん、大丈夫です。」 あっさり了解が得られた。 香織さんのことを知っている伯父さんがいたことが絶対に大きい。「それじゃ、続き。」 と、いつの間にか夕御飯が並んでいた。 本当に香織さんのスペックが高い。 なんでも出来る。 しかも「お、美味しい! 」 味も素晴らしい。 その後もお風呂でも二人で一緒に入り、話倒した。 中でも…「どーして動画を始めたの? 」 私がやっている動画の話が一番の話になった。「なんか気持ちいいかなぁって。でも香織さんみたいにステージに立つ勇気はなかった。だから一人で撮影してネット上で見てもらうことで精一杯だったのが本音です。」「曲はどーして私の曲⁈ もっとメジャーなアイドルの曲はあったでしょ⁈ 」「私が一番最初に聴いた曲がたまたま香織さんの声だったからです。それに私の中に自然と残ったから。」 本当の話。 一度ライブで聴いて香織さんを追うことになったんだ。「ふーん…。」 香織さんの目が細んだ。「でも実際にステージに立つとやはり足が竦んじゃう。よく香織さんはあんなパフォーマンスができるなぁ~と尊敬しています。」 ベッドに入っても話していた。 「ふーん…。でも実際は私もステージは怖い。何回と立っているけどね。でも私は歌しかみんなと一緒になれないから歌うの。歌で私のことを知ってもらい、私も一緒にみんなの輪に入れてもらうの。」 私は黙る。「芽衣ちゃんもこれからは一緒だよ。私達の知らない人達の心に私達は入っていかないといけないから。それが私達の姫川市の紹介の仕事だよ。」「はい、よろしくお願いします。」 ベッドの中で握り合う手を確認しながらこの日は終わりを告げていった。(続く)

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創作人 Wordpress

小説と詩を書いています。 「月の詩」シリーズをAmazonにて販売&配信中です。

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